GSが逝ってしまった。

先週日曜日のこと。
午後に予定があったので、早朝に椿ラインと道志を早朝にさくっとまわってみようと4時に出かけた。大観山はガスっていたが、椿ラインはきれいな状態で気持ちよく通過。芦ノ湖スカイラインは走れなかったので、道志でいくつかダートに入って楽しんでみた。道の駅で休憩後、まだ8時だがさっさと帰ろうと出発してしばらくしてそれは起こった。
 
緩やかな右カーブで、この日のテーマだったアウト・アウト・アウトのラインで走っていた。
対向車線に3台のバイクが見えた時、最後尾が黄色のセンターラインからはみ出しているのが見えた。その直後はご想像の通り。クラクションを鳴らす間も、パッシングする間も、なにやってんだ!と怒鳴る間もなく、一瞬の後バイク同士がキスしてしまった。

瞬間的に覚えているのは、4つだけ。
車線に戻るどころかふくらむ一方の相手バイクのヘッドライトと、左に逃げねばと思うがGSを起こすのが精一杯な焦り、そしてバイク右側の衝撃と、その後左側にあるコンクリートの壁面にぶつかるという恐怖。
一瞬の空白の後、我に返ると路面の上。目の前にオイルが滴るGSが倒れている。
相手を探すと30m後方で倒れたバイクと痛そうに起き上がるライダーを発見。良かった二人とも生きている。体の状態を確認するため、右手、左手、右足、左足、首、背中の順番で動かすが問題はなさそうだ。しかし顔が痛い。濡れているので、汗かと思ったがグローブのまま拭ったら血だらけだ。
通りがかった車のドライバーが駆け寄ってくれ、大丈夫かと聞かれるが、衝撃のショックで動けない。GSを起こしてくれるがひどい状態。右側のヘッド周りが吹っ飛んでしまっている。メーター周りもぐっちょりだ。ひどすぎる。
 
なんとか歩けるようになると、相手の連れや近所のおばさんが日陰に誘導してくれる。相手はまだ若い。突然の事で呆然としているようだが、怪我はなさそうだ。しばらくするとしきりに謝ってくる。
無理して走りやがってと怒ってしかるべき状況だが、気持ち悪いぐらいに冷静で、「無理な走りをしちゃだめだよ、二人とも無事でとにかく良かった」なんてのんきかつオヤジ的な言葉を返してしまった。どちらの怪我もたいしたことはなさそうだし、自分が相手ぐらいの歳には何度も曲がりきれずにセンターラインを飛び出してしまったこともあるし、相手が保険に入っていることが確認できたので、後は保険屋が上手くやるだろうと思っていた。車相手だと妙に興奮してしまうのだが、バイク相手だとどうも…ね。
それよりも、瞼の裏側にはまだ相手バイクのヘッドライトの残像が。あと20cm近づいていたら命はなかったかもしれない。しばらくの間、このイメージ以外頭の中にはなかった。
警察と救急車が到着したのは約30分後。自転車の事故があったとやらで立て込んでいたらしい。救急車は都留から峠を越えてきたそうだ。申し訳ない。
顔面の血のせいか、早く救急車に乗れとせかされる。警察の検証が気になるが後日とのことで、素直に従うことにした。津久井の病院に運ばれると、早速レントゲン。やけに痛い顔面に骨折はなかったが、右側の脛骨が欠けているのと腓骨にヒビが入っている。左胸の肋骨にも一部ヒビが。CTも撮られたが大事は無いようで帰って良しとなった。
翌日先方の両親と本人から連絡を貰う。こちらに来たいとのことだったがやんわり断った。後は保険で解決してくれればこちらは文句がない。
 
そして今日、レッカーで運ばれたGSを目にした。
とてもひどい状態だ。見てもらった人に詳しい話を聞くと泣きそうな内容。右のシリンダーどころか、左のシリンダーヘッドにも大きな傷。フロントのホイールはゆがみ、スクリーンは割れ、フレームのあちこちが折れたりしている。スイングアームにも大きな傷が。他にも破損個所多数。やはり衝突後、はずみで左側のコンクリートの壁面にも衝突したらしい。修理はとても無理。新車を買った方が安いとのことだった。04モデルかつ、走行は3万5千を超えているし保険屋の査定は110そこそこだろう。0対100でも新車代には至らない。GSに乗るのは諦めなくてはいけないのだろうか。
少し前にGSに乗るのを早まったか?と少し考えたことが、神様にバレたのだろうか。奥さんには身分不相応なバイクだったということではないかと言われたが、その通りかもしれない。二重に凹む。
事故処理が片付いてからにはなるが、この先どうするか悩むことになりそうだ。いずれにしても、やっと体に馴染んできたあのGSは帰ってこない。

追伸:北海屋のおばさんと通りがかったノアかステップワゴンの男性に多謝。本当にお世話になりました。